脊椎損傷(spinal cord injury)とは、外界の直接または間接的な要因によって脊髄に損傷が発生し、損傷した節段に様々な運動、感覚、括約筋機能障害、筋張力異常及び病理反射などの相応の変化が現れることです。脊椎損傷の程度と臨床症状は原発性損傷の部位と性質によって決まります。漢医学では外伤による「腰痛」、「痺证」、「癃闭」などの病証に分類されます。
脊椎損傷は原発性脊椎損傷と二次性脊椎損傷に分類されます。前者は外力が脊髄に直接または間接的に作用して引き起こす損傷です。後者は外力によって脊髄の浮腫、脊椎管内の小動脈出血による血腫、圧縮骨折、壊れた椎間板組織などが脊髄に圧迫を加え、脊髄にさらなる損傷を引き起こすものです。実験研究によると、原発性脊椎損傷はしばしば局所的で不完全性のものとされ、損傷後には局所に多くのカテコールアミン類の神経伝達物質、如去甲肾上腺素、ドパミンなどが放出され蓄積し、脊髄局所の微血管が収縮し、血流が不足し、血管透過性が増加し、小静脈が破裂し、二次性出血性壊死が発生します。この脊椎損傷後の脊髄中心部の広範囲の出血性壊死の自滅現象は出血性壊死と呼ばれ、脊椎損傷後の重要な病理過程です。
脊椎損傷は脊椎骨折の重篤な合併症であり、椎体の移位や骨片が脊椎管内に突出することで、脊髄や馬尾神経に程度に応じた損傷が発生します。胸腰部の損傷では下肢の感覚や運動が障害され、脊髄麻痺と呼ばれます。頸部脊髄損傷の場合、両上肢にも神経機能障害が生じ、四肢麻痺と呼ばれることがあります。略称で「四麻」と呼ばれます。