腹直筋は腹白線(腹正中线)の両側に位置し、腹直筋鞘全体で覆われています。腹直筋には3~4つの腱裂があるため、腹直筋鞘の前層と密接に接着しており、腹直筋鞘の後層とは接着していません。腱裂の部分には血管があります。腹壁上動脈は、胸郭内動脈の終末枝で、腹直筋鞘内を腹直筋の後ろに沿って下降します。腹壁下動脈は、髂外動脈から発し、最終的に腹直筋鞘内に進み、腹直筋の後ろで腹壁上動脈と吻合します。腹直筋の後ろの血管がある要因(外力や腹圧など)の作用下で破裂し出血した場合、腱鞘内に容易に血腫が形成され、この損傷は腹直筋鞘内血腫と呼ばれます。