脾胃は中焦に同居し、脾は清陽を昇らせ、胃は濁陰を降らせる、水谷の取り込みと運搬、吸収を共に司る、清陽が昇り、濁陰が降り、取り込みと運搬が通常に行われると、胃気は調和されます。ただし、表邪が内に入り込み、飲食が節制されず、痰湿が塞ぎ、情志が調節されず、脾胃が虚弱などの様々な原因で脾胃が損傷し、上下の機能が失調し、胃気が塞がれ、痞満が発生します。
1、表邪が内に入り、外邪が肌表に侵攻し、適切な治療が行われず、攻裏下剤を乱用し、脾胃が損傷し、外邪が虚を突いて内に入り込み、胃脇に結びつき、中焦の気機を塞ぎ、上下の機能が失調し、胃気が塞がれ、痞満が発生します。例えば、「傷寒論」には、「脈が浮いて緊張し、さらに下剤を投与すると、緊張が内に入り込み、痞満が発生し、押すと柔らかく、ただ気痞だけです」とあります。
2、食滞中阻や暴飲暴食、または生冷粗硬を過剰に摂取したり、肥甘厚味や濃茶・辛烈な酒及び過熱した飲食を好んだり、脾胃を傷つけ、食物が消化されず、胃脇に停滞し、上下の機能が失調し、胃気が塞がれ、痞満が発生します。例えば、「類証治裁-痞満」には、「飲食が冷たくて胃を傷つけ、痞満を引き起こす場合、中焦を温めて停滞を解消する」とあります。
3、痰湿が脾胃を塞ぎ、水湿が変化せず、痰濁が生じ、痰と気が胃の上腹部に交錯し、上下の運動が失われることで、胃の気が塞ぎ止められ、痞満が生じます。これは《蘭室秘蔵-中満腹胀》で「脾湿が余分で、腹が満たされ、食べ物が消化されない」と述べられています。
4、情志の失调多くなると気が結びつき、怒ると気が逆立ち、悲しみや憂うと気が鬱、驚いて恐ろしくなるなど、気の運動が逆になり、上下の運動が失われることで痞満が形成されます。特に肝が気を滞らせ、脾胃を攻撃し、胃の気を塞ぎ止める痞満がよく見られます。これが《景岳全书-痞満》で「怒りが暴傷し、肝の気が平らでない痞」と述べられています。
5、脾胃虚弱脾胃が弱く、中気不足、または飢餓と満腹が不均等、食事が節制されない、または長く病気を患って脾胃に損傷し、消化吸収が失われる、上下の運動が失調、胃気が塞ぎ、痞満が生じます。これは「多食冷え、脾胃が長く弱い人には、胃が冷えれば満腹になる、または内臓が冷えれば満腹病になる」と《蘭室秘蔵-中満腹胀》で述べられています。
胃の痞の病機には実虚の二つがあり、実は実邪が内に阻まれています。これには外邪が内に入り込む、食事が停滞する、痰湿が滞る、肝が気を滞らせるなどがあります。虚は中虚が運動しないことであり、脾胃の虚弱が原因です。実邪が内に阻まれる理由は、中虚が運動しないことや、上下の運動が無力であることに多く関係しています。逆に、中焦が運動が無力であると、実邪が侵されることが多く、これらは互いに関連しています。脾胃が虚弱で運動が失われると、湿が停滞し、飲み込んだものが内に留まることになります。また、実邪が内に阻まれると、さらに脾胃を傷つけ、最終的には実虚が同時に見られることになります。また、さまざまな病邪や病機の間でも、互いに影響し、変化し、実虚が互いに見られ、寒熱が混ざった病理変化が生じ、痞証の病機の特徴となります。つまり、胃の痞は胃に位置しており、肝脾と密接に関連しています。基本的な病機は脾胃機能の失調、上下の運動が失われること、胃気の塞ぎです。