甲沟炎は俗に「凍甲」と呼ばれ、爪床炎の一種です。爪の周囲の組織、両側の側甲溝と底部の近くの甲溝の炎症を意味しており、一般的な症状は赤み、腫れ、痛みで、重症の場合は膿瘍が発生することがあります。
甲沟炎は指(趾)甲周囲の軟組織の化膿性感染であり、細菌が甲の周囲の皮膚の小さな傷口から皮膚下に侵入し、増殖繁殖を引き起こします。手には刺傷や肉刺の剥ぎ取り、爪のカットが深すぎるなどの損傷が原因で多く見られます。足には爪が刺さったり、靴が過度に締め付けられていることが多く、特に親指に多く見られます。甲沟炎の初期段階では、趾甲の一方が軽い痛みと赤みがあり、その後膿瘍が化膿し、膿が他方や甲下に拡がり、甲下膿瘍が形成されます。甲下には黄色白い膿が見られ、深部の爪が爪床から分離します。足の趾の爪が刺さった側には慢性肉芽組織が増生し、傷口が長期間治りません。
甲沟炎は指(趾)甲の両側と皮膚の皺が結合する部分の化膿性感染であり、臨床でよく見られる指(趾)部の感染症の一つです。病原菌は皮膚の表面の黄色ブドウ球菌です。軽い傷の後でも発生し得ますが、早期に局所的な消炎処理を行うことで感染は制御できます。膿瘍が形成された後は、切開療法が必要です。